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医療者、事業者、行政関係者のための 相談窓口、オンライン研修、サポートブック。

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東京都
難治性精神疾患
相談窓口

東京都の取り組み

東京都における精神科病床で1年以上入院している患者数は減少傾向にありますが、2022(令和4)年6月末時点において、いまだ約8,700人を超えています。また、厚生労働省が示す施策「精神疾患の医療体制の構築に係る指針」において、クロザピンやECT等の専門的治療法を普及させていくことを踏まえた入院需要の目標設定がされており、東京都では、2018(平成30)年3月改定の「東京都保健医療計画」にて、入院期間が1年以上となる長期在院者数の目標値設定を行っています。難治性精神疾患を有する患者に対する地域支援体制を構築するためには、医療機関におけるクロザピン、ECTの専門的治療を推進するほか、地域における支援と結び付けていくことも必要不可欠です。

そのため東京都では、都内の医療関係者、地域支援事業者、行政関係者のみなさまを対象に、入院が長期化しやすい難治性精神疾患を有する患者が、専門的治療等を受けながら、地域で安心して生活できる支援体制の構築に向け、2019(令和元)年度より「難治性精神疾患地域支援体制構築事業」を開始しました。

本事業では、地域支援体制を構築することで、専門的治療へのアクセシビリティを高めることを目標として、医療機関、地域支援事業者、行政機関それぞれの有識者が参加し検討を進めてきました。また、検討を進める中で、「地域連携」の重要性に着目し、地域連携の活発化のためには、関係者が正しい知識と共通のイメージを持つことが重要であるという見解にたどり着きました。

そこで、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターへ委託し、2021(令和3)年度からは専門的治療の理解促進を目的とした研修を実施、2022(令和4)年度からは、難治性精神疾患および専門的治療に関する相談を受け、助言を行う相談窓口を設置しました。また、2023(令和5)年度は専門的治療にかかわる知識の向上や多職種による医療連携について参考となる内容をまとめ、支援に携わる関連機関のみなさまに治療ならびに地域連携を進めるための一助となるようサポートブックの発刊を行いました。

専門的治療

精神科長期入院の半数以上を占めている統合失調症患者の中には、十分な用量の抗精神病薬を服用しても部分的な効果にとどまる難治性(≒治療抵抗性)症例が一定の割合で存在しています。このような治療抵抗性の統合失調症にはクロザピンをはじめECT等の専門的治療が有効であるといわれています。また、ECTは統合失調症に限らず、うつ病や双極性障害などにおける難治性の症例に対しても有効であるといわれています。

このように難治性精神疾患に対する専門的治療は、入院の長期化を防ぎ、退院および地域生活への移行の可能性が高まることが期待されています。

クロザピン

クロザピンは1962年に合成された古くからある抗精神病薬ですが、治療抵抗性の統合失調症への効果が非常に高いため現代においても世界中で使用されています。本邦では2009年に薬事承認され、無顆粒球症などの副作用のリスクはありながらも、定期的な診察・検査を行うことで安全な医療を提供できています。実際に長期入院していた治療抵抗性の統合失調症患者が退院できた事例は多くみられます。現在はクロザピンを必要としている患者が治療を受けられるアクセシビリティの向上が課題の一つです。

ECT

1938年にイタリアで世界初のECTが実施されました。ECTはうつ病に限らず、双極性障害、統合失調症においても高い効果が期待できる治療法の一つであるため、臨床の最前線で使用されています。この間に全身麻酔をかける修正型、パルス波治療機、講習会の定期開催、実践的マニュアルの刊行など、安全な実施方法が確立、普及してきました。これからはECTの対象となる患者像を共有し、必要な方はどなたでも治療を受けられるアクセシビリティの向上が課題になります。

取り組みの三本柱

2021

専門的治療オンライン研修

難治性精神疾患に対する専門的治療研修は2021(令和3)年度より実施しています。本研修はクロザピン(基礎研修・応用研修)、ECT(基礎研修・応用研修)の4区分に分かれており、参加者がそれぞれの理解度や興味・関心に合わせてオンデマンド形式で受講することができます。また、講師は実際に専門的治療に携わっている医師やメディカルスタッフで構成されており、多職種の講義を受講することができるため、知識の向上や多職種によるチーム医療、医療連携にも役立つ内容となっています。

2022

相談窓口

2022(令和4)年度より難治性精神疾患地域支援構築体制事業の一環として、東京都内の精神科病院等に従事する職員や地域で難治性精神疾患を有する方への支援に携わる事業者ならびに行政関係者を対象に、難治性精神疾患および専門的治療(クロザピン・ECT)に関する相談を受け、助言する窓口を開設(相談窓口ホームページ内にある相談連絡票より相談)しています。相談には、国立精神・神経医療研究センター所属の精神科医師、病棟看護師、精神保健福祉士が対応しています。
 また、2023(令和5)年度には相談窓口にチャットサービスを搭載し、より気軽にご利用いただけるようになりました。ご利用ください。

2023

サポートブック

難治性精神疾患治療サポートブックでは、東京都の難治性精神疾患の現状と課題をまとめ、都内で難治性精神疾患の治療、地域支援に携わる関係機関の方へ向けて、専門的治療であるクロザピンおよびECTに関する知識の向上や医療連携の参考となる内容を掲載しています。治療および地域連携を進めるための一助として、サポートブックをご活用ください。

お知らせ

  • ホームページリニューアルのお知らせ
    このたび、当サイトがリニューアルされましたことをお知らせいたします。新しいデザインでより使いやすく、チャットボット機能により難治性精神疾患の情報の入手がスムーズになりました。新たにサポートブックも追加されました。相談窓口 […]