東京都では、入院が長期化しやすい難治性の精神疾患を有する患者さまが、治療抵抗性統合失調症治療薬(以下「クロザピン」)や電気けいれん療法(以下「ECT」)を用いた専門的治療を受けながら、地域で安心して生活できる支援体制の構築に向けた取組を行っています。

本窓口は、都内で精神科病院等に従事する職員や、地域で難治性疾患を有する患者さまへの支援に携わる事業者及び行政関係者から専門的治療に関する相談を受け、助言を実施する窓口として開設されました。

クロザピン

クロザピンは1962年に合成された古くからある抗精神病薬ですが、治療抵抗性の統合失調症への効果が非常に高いため現代においても世界中で使用されています。本邦では2009年に薬事承認され、無顆粒球症などの副作用のリスクはありながらも、定期的な診察・検査を行うことで安全な医療を提供できています。実際に長期入院していた治療抵抗性の統合失調症患者が退院できた事例は多くみられます。現在はクロザピンを必要としている患者が治療を受けられるアクセシビリティの向上が課題の一つです。

電気けいれん療法(Electroconvulsive Therapy: ECT)

1938年にイタリアで世界初のECTが実施され84年が経ちました。ECTはうつ病に限らず、双極性障害、統合失調症においても高い効果が期待できる治療法の一つであるため、臨床の最前線で使用されています。この間に全身麻酔をかける修正型、パルス波治療機、講習会の定期開催、実践的マニュアルの刊行など、安全な実施方法が確立、普及してきました。これからはECTの対象となる患者像を共有し、必要な方はどなたでも治療を受けられるアクセシビリティの向上が課題になります。